6月6日(水) 16:30 Harderwijk (オランダ)


レース名 : 27e Parel Van de Veluwe
距        離: 181.2km (147.9km+11.1km×3Laps)
出走者数:163
天候:曇り
結果:88


初のクラシックレースだというのに、朝目覚めると外は土砂降り。
オランダクリテリウムやベルギーケルメスレースより更にレベルが増すと聞いていたので、この雨の中そんなレースを走るのかと思うと気分は少し憂鬱に。
しかしこれまでの経験から言うと、朝雨が降っていると午後を過ぎる頃には止む傾向にあったので、晴れることを願いながら支度し会場へ向かった。

クラシックレースに参戦する際は、「GRC Jan Van Arckel」というオランダのクラブチームに参加させてもらうことになる。
今回参戦するのは、私達スクール生を含めて6名。
会場へはそのチームの監督やメンバーらと共に向かうので、まずはその方々との集合場所へ。
そこで監督らと挨拶するのだが、私はオランダ語も英語も喋れないので何もこちらのことを伝えることができなかった。
ヨーロッパで活動するには、最低限英会話ができないと何もできないと改めて思い知った。

会場へ着いた後も雨は降り続いており、先に行われていた女子のレースを少し観戦したのだが、皆顔まで泥だらけで激しいレースだったことが想像できた。
その後準備をしていると運良く雨が上がり晴れ間も見え始め、気温もサイクリングをするには丁度いいくらいになった。

完走率の高いと言われる今レースの出走者は平日にも関わらず163名も集まり、会場も賑わいを見せていた。
そんな日本と違う光景を見ながらスタート脇のテントでサインをし、スタート位置へ。
これまでと全く種類の違うレースだが、緊張はしなかった。
短期間に何度もレースに出ていたおかげだろう。
他の選手も皆緊張している様子は無く、談笑したり既に補給食を食べ始めたりしている選手もいた。

そんな様子を観察しながらスタートを待っていると、アナウンサーから黙祷の指示が。
30秒程黙祷した後、先導車が動き出し、遂にレースが始まった。
1.5kmまではパレードスタート。
この間選手達は位置取り争いで殺気立っている。
ここで落車する選手も居ると聞いていたので、無理はせず、しかし最後方まで下がらないように努めた。

1.5kmを過ぎ、スターターピストルと旗の合図で本番が始まる。
30km/h程から一気に50km/hまで跳ね上がるスピード。
最初は緩やかな上り基調なのだが、そんなことを感じさせないスピードだ。
苦しい、既に呼吸が乱れている。
しかし付いて行けている。
ずっとこのスピードは続かないだろうから我慢だ、と自分に言い聞かせながら耐える。
ちなみに最初の40分程は平均48km/hをマークしていた。

上りがあれば、下りもある。
山のぐねぐねとした下りは好きではないが、こちらの下りは緩やかでほぼ一直線。
何も恐れることなく突き進み、後方から中程まで位置を上げる。
本日のコースは基本的に森と農道を抜けるコースなので、こういったところで位置をあげておかないと道が細くなった時に中切れを食らう恐れが大いにある。
それゆえもっと前方へ行きたかったのだが、集団が団子状になっていたので中程で留まる。

しかし、それがいけなかった。
1時間が経とうとする頃、上り基調の区間で集団は縦一列に伸び、中切れが発生。
私は中切れがあったすぐ後ろにいたのだが、私の後方には少し距離が開いてポツポツとしか選手が居ない。
どうやら後ろの集団も崩壊していたようだ。
仕方なく一人で追うも、集団の方がスピード速くじわじわと離されていくので、大人しく後ろの集団が復活するのを待ってから再度追うことに。
結局前方の集団を捕まえるのに30分を費やすこととなった。

そこからしばらくは一定ペースでの走行。
この日はシマノレーシングチームの阿部選手もレースに参加していたので、日本のトップクラスの選手の走り方を真似ようと後ろやら横やらに付いて走り方を観察する。
わかったことは、体の使い方がうまく、筋肉量が圧倒的に違うということ。
上半身は体幹がしっかりしているのか全くブレず、下半身は筋肉が隆起しており、自分とは明らかに違う体つきであったため驚かされた。
自分もこれくらいにならなければならない。
そう思いながら、引き続きペダルを回した。

3時間を過ぎようとする頃、農道に出る。
道が細く、風も吹いていたので集団は縦に伸びる。
そこで56人を巻き込む落車が発生。
運良く巻き込まれはしなかったが、道路いっぱいに選手と自転車が転倒していたので、クリートを外しその場を脱出する。
しかし前方の集団との差が大きく開いている。
落車の地点は畑に投げ出された選手もおり、すぐには集団が復活しそうになかったので抜け出せた十数人で前を追う。

そこからはさっきまでのゆったりとした一定ペースから一転、ハイペースな展開に。
グルグルとローテーションをしながらなんとか前に見えている集団を追うのだが、なかなか差が縮まらず、息も絶え絶えに。
周回コースに入る手前で追いついたので、ここでも30分程追っていたことになる。
追いついた時には集団が団子状になっていたので一息つき、できるだけ呼吸を整える。
そしてスタートした街に戻り、周回コースへ突入。
ここから永遠とも思える30kmが始まる。

まず1周目。
フィニッシュラインを抜け、ここからがスタートだと言わんばかりに一気にスピードが上がり、集団は大きく縦に伸びる。
なんとか付いてはいけているが、立ち上がりの速度が今までの比ではない。
3時間半走って脚が疲弊しているせいもあるのだろう。
立ち上がりだけでなく、そこからの巡航速度も速く、何度も脚が攣りかける。
長い、長すぎる。
1周の10kmなんて、あっという間のハズなのに。
そう思いながら我慢していると、街の裏側でペースが落ちる。
助かったと、脚を休ませることができたのも束の間、すぐに2周目へ突入する。

2周目は先程よりもスピードが上がる。
これ以上上げられるとどうしようも無いといったくらいに、だ。
しかしまだ最終周がある。
確実にこれよりスピードは上がる。
となるとどうすれば良いか、この周は疲弊しきった脚を回復させなければならない。
できるだけ風を受けない位置で走行しようと試みるが、それ以上に立ち上がりで脚を使わされる。
しかもこの周は1周目でペースが落ちたところでもペースが落ちない。
もがき苦しみながら、2周目のフィニッシュラインを抜け、最終周へ。

予想通り最終周は尋常では無い程にペースが上がる。
途中までは食らいついていたのだが、コーナーを3つ曲がったあとの直線で付き切れ。
後方に何人かいたので最後尾に付こうとするが、脚が無く失敗。
仕方ないので、私と同じように千切れた選手と共に完走を目指す。
しかし皆脚が限界に達していたのか、ローテーションもうまくいかずすぐにバラバラに。
最後の力を振り絞りながら走り、3/4を過ぎた頃にチームカーが後ろからやってくる。
ここからはしばらく直線で前を引いてくれるようだったので、すぐさまチームカーの後ろに付き、できる限り速いペースでペダルを回す。
そしてコーナーに差し掛かったのでチームカーが少し先行し、私もコーナーを抜けてそれに追いつこうとペダルを踏むと、両足に衝撃が走り、攣ってしまう。
数秒間そのままの位置で脚が回せず、回せた後もぎこちないペダリングに。
その後は残り数百メートルだったので気合で回し、トップから236秒遅れの88位でゴールする結果となった。

なんとか完走はできたものの、集団内でゴールすることはできなかった。
今まで出たレースより更にパワーと持続力が要求された。
しかし今の自分の力でも、序盤から前方付近を走れていたら中切れにも合わず落車の被害も受けず脚を溜められていたかもしれない。
それで最後に走れなかったのならパワー不足ということになるが、まだまだ走り方を磨く必要があるようだ。
それでも監督やメンバーらの方々が走りを褒めて下さったので自信に繋がった。
次回からはもっと果敢に、積極的に、動いて行きたい。